浅い呼吸が招く体と心の不調

深呼吸を意識していますか?

 

現代人はストレスやデスクワークの影響で、

知らず知らずのうちに

「浅い呼吸」になっている人が

非常に多いです。

 

「呼吸なんて自然にやっているから大丈夫」

と思っていませんか?

 

実は、あなたの長引く不調や、

イライラ、集中力の低下は、

その浅い呼吸が原因かもしれません。

 

たかが呼吸、されど呼吸。

 

今回は、呼吸が浅くなることで

体とメンタルにどのような症状が起こるのか、

そして今日からできる対策について、

詳しく解説していきます。

 

 

1.呼吸が浅くなるメカニズム

健康な大人の呼吸は、

通常、横隔膜を大きく使った

腹式呼吸が基本ですが、

浅い呼吸は主に胸郭上部だけを

使って行われます。

 

最大の原因は「ストレス」と「姿勢」です。

① ストレスと自律神経

強いストレスを感じると、

私たちの体は闘争・逃走反応として

交感神経が優位になります。

 

交感神経が優位になると、

心拍数が上がり、筋肉が緊張し、

自然と呼吸は速く、浅くなります。

 

この状態が慢性化すると、

脳は「浅い呼吸が通常」と認識してしまい、

リラックスしている時でも

呼吸が深くなりにくくなります。

 

② 悪い姿勢(デスクワーク)

長時間のデスクワークや

スマホ操作による猫背は、

肺がある胸郭を圧迫します。

 

胸を丸めた状態では、

横隔膜が十分に下がりきれず、

肺全体を使って深く息を吸い込むことが

構造的に困難になります。

 

その結果、肋間筋や首の筋肉を使った

「努力性呼吸」が習慣化し、

常に肩や首に余計な負担がかかります。

 

 

2.浅い呼吸が引き起こす体の不調

酸素不足と慢性的な筋肉の緊張は、

全身にさまざまな不調をもたらします。

 

① 慢性的な疲労感と倦怠感

呼吸の役割は、体内に酸素を取り込み、

老廃物である二酸化炭素を排出することです。

 

呼吸が浅いと、

体内に十分な酸素が供給されません。

 

細胞がエネルギー(ATP)を生み出すには

酸素が必須であるため、

酸素不足はエネルギー生産の低下に直結します。

 

その結果、

「ぐっすり寝たはずなのに体がだるい」

「常に体が重い」といった

慢性的な疲労感に悩まされます。

 

② 首・肩のこりの悪化

浅い呼吸は、本来あまり使わない

首や肩の筋肉を使って無理に息を吸おうとします。

 

これが「努力性呼吸」です。

 

その結果、これらの筋肉が常に緊張状態になり、

血行不良を引き起こし、

頑固な首こりや肩こり、

さらには頭痛の原因にもなります。

 

③ 代謝の低下と冷え

酸素は体内で脂肪を燃焼させるためにも重要です。

 

酸素供給量が減ると、

基礎代謝が低下し、

太りやすくなったり、

冷え症が悪化したりします。

 

二酸化炭素の排出不足は、

体液が酸性に傾くアシドーシスのリスクを高め、

これも体のだるさにつながります。

 

④ 胃腸の不調

深い腹式呼吸は、

横隔膜の動きがお腹のマッサージ効果となり、

胃腸の働きを活発化させます。

 

呼吸が浅くなると、

この「内臓マッサージ」効果が得られず、

自律神経の乱れも相まって、便秘や下痢、

食欲不振などの胃腸の不調を引き起こしやすくなります。

 

3.浅い呼吸が引き起こす心の不調

呼吸の浅さは、

脳と自律神経に直接影響を与え、

メンタルヘルスを不安定にします。

 

① 不安感・イライラの増大

浅く速い呼吸は、

脳に「危険だ」「緊急事態だ」という信号を送ります。

 

これは、前述したように

体が交感神経優位の状態にあるためです。

 

常に緊張状態が続くと、

感情のコントロールが難しくなり、

些細なことでイライラしたり、

漠然とした不安感に襲われたりします。

 

パニック障害の患者さんが過呼吸を起こしやすいのも、

このメカニズムと関連しています。

 

② 集中力・思考力の低下(ブレインフォグ)

酸素不足は脳の働きを鈍らせます。

 

脳は体の中でも特に酸素を大量に消費する器官であり、

酸素が足りないと、記憶力や集中力が低下し、

「頭に霧がかかったような状態(ブレインフォグ)」

を感じやすくなります。

 

仕事や勉強の効率が落ち、

さらにストレスを感じるという悪循環に陥ります。

 

③ 睡眠の質の低下

呼吸が浅いまま寝ると、

交感神経が十分に休まらないため、

眠りが浅くなります。

 

また、睡眠中に呼吸が

止まったり浅くなったりする

睡眠時無呼吸症候群のリスクを

高める可能性もあります。

 

深い睡眠(ノンレム睡眠)が取れないと、

体の疲労が回復せず、

メンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。

 

 

4.今日からできる、呼吸を深くする対策

浅い呼吸は、意識的なトレーニングで改善できます。

 

① 毎日の「深呼吸習慣」

時間を決めて、意識的に腹式呼吸を取り入れましょう。

 

リラックスして座るか、仰向けに寝る。

 

片手を胸に、もう片手をお腹に当てる。

 

鼻から4秒かけてゆっくり息を吸い込み、

お腹が膨らむのを感じる。

 

口から6秒〜8秒かけてゆっくり息を吐き出す。

 

お腹がへこむのを確認する。

 

これを1日3回、5〜10分程度行うだけで、

自律神経が整い始めます。

 

② 姿勢の意識改革

デスクワーク中は、座面に深く座り

、骨盤を立てる意識を持つことが重要です。

 

定期的に立ち上がって、

胸を開くストレッチ

(両手を広げたり、背中で組んだりする)を行い、

硬くなった胸郭や肩甲骨周りの筋肉を緩めましょう。

 

③ リラックスできる時間を作る

入浴やアロマテラピー、

軽いストレッチなど、

心身をリラックスさせる時間を作りましょう。

 

ストレスが軽減されれば、

自然と深い呼吸がしやすくなります。

 

「健康は呼吸から」と言っても過言ではありません。

 

深い呼吸は、体の不調を改善し、

メンタルを安定させるための

最もシンプルで強力なツールです。

 

今日から意識的に

「深く、ゆったりとした呼吸」を心がけて、

心身ともに軽やかな毎日を送りましょう!

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